7匹の猫の物語 / マリオの作った伝統

 私が大人になって、初めていっしょに暮らし始めた猫は、マリオだった。以前にも書いたが、実家で生まれた子猫を分けてもらうことになったのが発端だった。本当は、額にMの文字様の模様がある女の子を連れてくる予定だった。名前はクララにするとも決めていた。しかし、いざ出発の朝、新しいキャリーの扉を開けると、なんと、鼻黒ちゃんの男の子が当たり前のように入っていくではないか!
 え! 君が行くの? と驚いたが、Mの模様のある女の子は関心も示さずにどこかへ行ってしまった。自ら望んで行くなら、まあいいかと、私は鼻黒ちゃんを連れて帰ることにした。男の子なので、マリオと名付けた。もちろんマリア様からもらった名前である。ママ似のヒマラヤンのような外観の子だった。パパは、サスケという大きな犬のようなネコで、ブリティッシュショートヘアのような外観だった。後に、東京のジイジから、「ドン・鼻黒」と呼ばれるようになった。前にも書いたが、マリオは子猫が家にやってくると、保父さんにように世話を焼く、心優しい子だった。

 その後、パコとトーニョとミモザの3匹での生活が結構長く続いた。パコはフランシスコ、トーニョはアントニオが正式な名前だが、我が家では短い方の呼び方を使っている。ミモザは、彼女を救出した私の友人がつけた名前である。
 この3匹の関係性は実に面白かった。前にも書いたように、ミモザはパコ兄ちゃんが大好きだったけど、トーニョも嫌いではなかった。3匹は仲が良くて、時々プロレスごっこもする。そして何より感心したことは、決して1匹をのけ者にしないということだった。2匹と1匹に別れて寝ていることもよくあったが、見る度にその組み合わせは変わっていた。このバランス感覚には、頭が下がった。その姿に、人間の愚かさを浮き彫りにされたようにも感じた。
 そんな3匹だが、やはりミモザは女王様のようだった。お兄ちゃんたちは、すごくミモザを可愛がっていた。最初のころ、ミモザはストリートガールの体験からか、お兄ちゃんたちの頭を押さえて、人のご飯まで手を伸ばしていた。しかし、数年経つと、「ストリートガール? いったい誰の話?」と言わんばかりで、「お兄ちゃん食べたいなら、私のもあげるよ・・・」という態度に変化していた。すっかりお嬢様になってしまったのである。ここには、小さな子をお世話するというマリオ兄ちゃんの教えがしっかりと根付いていたように思う。

 この後のボブ、ガブリエル、ルイスは、マリオとは全く接点がないのだが、不思議と伝統が残っているようにも感じられる。この続きはまた。

 

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