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  • パコちゃん日記9/ マリオ兄ちゃん、席を譲られる💖

     マリオ兄ちゃんは、飛行機にも乗るし、電車にも乗る。車でのドライブもいいものだよと言っていた。マリオ兄ちゃんは、おくるみのようなお散歩バッグを持っていたんだ。ムファムファが見つけて買ってくれたんだって。ふかふかのおくるみに入って、顔の部分が開いているから、お外がよく見えて楽しかったらしい。
     休みの日には、プファプファとムファムファといっしょに、よくお散歩に行ったんだって。武蔵野公園や小金井公園には何回も行ったらしい。でも、マリオ兄ちゃんは途中でいつも眠くなって、ウトウトしてしまうと言っていた。気持ちよさそうだよね!

     ある日、阿佐ヶ谷のバアバのところに行くので、マリオ兄ちゃんも中央線に乗ったんだって。休日の午後で、少し混んでいた。マリオ兄ちゃんはおくるみバッグに入ってムファムファに抱っこされていたんだ。すでに少しおネムで顔を引っ込めてウトウトしていたらしい。
     そうしたら、ムファムファの前に座っていた高校生くらいのお兄さんが「どうぞ!」と席を譲ってくれたんだって! そのお兄さんは、マリオ兄ちゃんを人間の赤ちゃんだと思ったらしい・・・(笑)
     ムファムファはびっくりして、「ネコだから、大丈夫よ」と言ったら、そのお兄さん「そうなんですか!」と覗き込んで、笑いながら「かわいい~。僕、ネコ大好きなんです、座って下さい」と言ってくれたそうだ。さらに、隣に座っていた友達にも「立って!」と声をかけて、プファプファまで座らせてくれたんだって。素敵なお兄さんたちだよね💛
     マリオ兄ちゃんは、優しいお兄さんのおかげで中央線が大好きになったと言っていたよ。阿佐ヶ谷で降りる時、マリオ兄ちゃんはお兄さんたちに、「ありがとう!」と目一杯可愛い顔をしたと言っていた。

     バアバのお家に着いてからも、この優しいお兄さんの話でしばらく盛り上がっていたらしい。優しいお兄さんは、周りの人を沢山幸せな気持ちにさせるんだよと、マリオ兄ちゃんは僕に教えてくれた。僕もなんだか幸せな気分になった。暖かい心や言葉は、素敵なんだと思った💖

     バアバの家にはマリオ兄ちゃん専用のトイレが置いてあって、しょっちゅう遊びに行ってたらしい。マリオ兄ちゃんが遊びに行く時には、バアバはいつもマリオ兄ちゃんの大好物のささみを買っておいてくれたんだって。いいな~(^_-)-☆

     僕は中央線は乗ったことがないけれど、電車には、優しいお兄さんたちが乗っているんだと分かった。

  • パコちゃん日記 8 /  三角禿!

     ムファムファが帰ってこない!! どうしたんだろう? おかしい……寂しいにゃ~😿
     明日帰ってくるのかなと思いながら、僕は眠った。次の日も帰ってこなかった。それから何日も帰ってこなかった。僕は、すごく心配になった。僕たち捨てられちゃったの?!
     それとも、出張かな?……でも長すぎる… 弟のトーニョと妹のミモザも、「お兄ちゃん、どうしてムファムファ帰ってこないの?」と、泣きそうになっている。「大丈夫、大丈夫」と明るく言ってはみたものの、実は僕もすごく落ち着かない……
     あ! ムファムファが帰ってきた~! 僕はすぐに走っていったけど、抱っこは我慢した。トーニョとミモザが「抱っこ~」と言って、ムファムファに飛びついていったから。僕はお兄ちゃんだから、我慢がまんガマン…寂しかったことも、ちょっと忘れた。

     ムファムファは、単身赴任というのを始めたらしい。何日か経つと帰ってくるということが分かって、ホッとした。いたずらをしすぎて、捨てられたわけじゃなかった。エヘ(^_-)-☆。
     しばらくして、ムファムファが僕の頭を見て「あれ? 禿げてる!」と言った。次の日、僕は病院に連れていかれた。お注射やだなと思っていたけど、お注射はなかった。スプーン先生は、「何か変わったことがありましたか?」とムファムファに聞いている。2人はいろいろ話していて、お注射はないことになった。良かった~。

     「ストレス」なんだって。ストレスって、禿げることか? ムファムファは、「パコちゃん、お兄ちゃんしてたんだね。頑張ったんだね」と優しく言った。そして、トーニョとミモザがいない部屋で、久しぶりに抱っこしてもらった。気持ちいい~。僕は何だか泣きそうになってしまった。忘れていた気持ちが、一気に思い出されてきた。うん、僕寂しかったけど、頑張ってたんだ。

     人間の世界では円形脱毛症と言うらしい。僕の頭は毛の生え方が人間と違うから、三角禿げになったんだって。自分では、そんなに無理をしているなんて思ってなかったけど、確かに、ムファムファが帰って来ないという、いつもと違うことが起こって、不安になっていた。ムファムファが帰ってきて安心したけど、トーニョとミモザがムファムファに甘えているから、僕はちょっと我慢していた。そんなちょっとの積み重ねで、僕の頭は禿げちゃったんだ。心って不思議だなと思った。

     皆で遊んだり、ときどき、トーニョやミモザがいないところでムファムファに甘えたりしているうちに、僕の三角禿げは治っていった。綺麗に元通りになった。よかった、よかった。我慢のしすぎは、よくないんだね。僕は、しっかり覚えておこうと思った。

  • 7匹の猫の物語 / マリオの作った伝統

     私が大人になって、初めていっしょに暮らし始めた猫は、マリオだった。以前にも書いたが、実家で生まれた子猫を分けてもらうことになったのが発端だった。本当は、額にMの文字様の模様がある女の子を連れてくる予定だった。名前はクララにするとも決めていた。しかし、いざ出発の朝、新しいキャリーの扉を開けると、なんと、鼻黒ちゃんの男の子が当たり前のように入っていくではないか!
     え! 君が行くの? と驚いたが、Mの模様のある女の子は関心も示さずにどこかへ行ってしまった。自ら望んで行くなら、まあいいかと、私は鼻黒ちゃんを連れて帰ることにした。男の子なので、マリオと名付けた。もちろんマリア様からもらった名前である。ママ似のヒマラヤンのような外観の子だった。パパは、サスケという大きな犬のようなネコで、ブリティッシュショートヘアのような外観だった。後に、東京のジイジから、「ドン・鼻黒」と呼ばれるようになった。前にも書いたが、マリオは子猫が家にやってくると、保父さんにように世話を焼く、心優しい子だった。

     その後、パコとトーニョとミモザの3匹での生活が結構長く続いた。パコはフランシスコ、トーニョはアントニオが正式な名前だが、我が家では短い方の呼び方を使っている。ミモザは、彼女を救出した私の友人がつけた名前である。
     この3匹の関係性は実に面白かった。前にも書いたように、ミモザはパコ兄ちゃんが大好きだったけど、トーニョも嫌いではなかった。3匹は仲が良くて、時々プロレスごっこもする。そして何より感心したことは、決して1匹をのけ者にしないということだった。2匹と1匹に別れて寝ていることもよくあったが、見る度にその組み合わせは変わっていた。このバランス感覚には、頭が下がった。その姿に、人間の愚かさを浮き彫りにされたようにも感じた。
     そんな3匹だが、やはりミモザは女王様のようだった。お兄ちゃんたちは、すごくミモザを可愛がっていた。最初のころ、ミモザはストリートガールの体験からか、お兄ちゃんたちの頭を押さえて、人のご飯まで手を伸ばしていた。しかし、数年経つと、「ストリートガール? いったい誰の話?」と言わんばかりで、「お兄ちゃん食べたいなら、私のもあげるよ・・・」という態度に変化していた。すっかりお嬢様になってしまったのである。ここには、小さな子をお世話するというマリオ兄ちゃんの教えがしっかりと根付いていたように思う。

     この後のボブ、ガブリエル、ルイスは、マリオとは全く接点がないのだが、不思議と伝統が残っているようにも感じられる。この続きはまた。

     

  • パコちゃん日記 7 /    度の過ぎた警戒心

     昨晩もニャンズームをした。ルイスがひどく臆病なので、どうしようという話になった。「もうすぐ4歳になるというのに、困ったもんだ」とガブリエルは心配している。横で、ルイスは神妙な顔をしている。可愛い~

     「子猫の時は、そんなことはなかったのに」とガブリエルが言う。初めて家に来た時、隣の部屋のケージの中にいれられたけど、ガブリエルが「やあ!」と近寄っていくと、きょとんとしながらもすりすりしてきたんだって。それなのに、最近は、家族以外の人が来ると、忍者のように隠れて、決して姿を見せないそうだ。プファプファとムファムファは、「怖い思いなんかしたことがないのに、なんでだろう?」と不思議がっている。

     僕はガブリエルに言った。「何か危険を察知して対応することは、生物としては正しいことなんだよ」と。ルイスは、成長してきて、いつもと違うことに警戒心を持つようになったんだと、僕は思う。いつもと違うことに敏感だということは、ルイスの特徴のようだ。これ自体は決して悪いことではないのだけれど、ルイスは少し度が過ぎるようにも思う。ルイス自身も、ちょっと生きにくいかもしれない。

     マリオ兄ちゃんも、ちょっと似たことがあったと聞いたことがある。マリオ兄ちゃんは、家を訪ねてくる人に対して、たいていはウエルカムなんだけど、工事関係の人は苦手だった。腰にベルトを巻いて、そこにペンチやドライバーをぶら下げている人を見ると怖くなる。そんな時は、いつもプファプファかムファムファが押し入れの戸を少し開けてくれるので、押し入れの中に隠れていたんだって。外から来た人を警戒する能力は大切だと、マリオ兄ちゃんも言っていた。トーニョなんかは、その警戒心が全くと言っていいほどないので、それはそれでマリオ兄ちゃんは心配していたらしい。

     ルイスは、正しい警戒心は失わないように、でも、警戒しなくていい人はちゃんと見極められるようになることが課題なんだろう。「自信にゃ~い」とルイスが言う。きっと大丈夫だよ。ルイスは怖ろしい目に合ったことはないので、トラウマが原因ではないからね。「そうなれたら、僕も嬉しいな」と、ルイスは少し自分に期待を持てたようだ。

  • パコちゃん日記 6 /    猫生を考える・心配と食欲

     マリオ兄ちゃんと暮らす日々は穏やかで安心だったけど、時々、小さい頃にいたお家のことなんかを思い出すことがあった。あそこはどこだったんだろう? あそこで一緒にくらしていた他のネコたちはどうしたんだろう? どうして僕だけ今ここにいるんだろう? なんて考え始めると、頭が痛くなるんだ。僕も少し大人になってきたのかもしれない、と思った。今すごく楽しいし、何にも困っていないから、まっ、いいかとも思うんだけど。

     僕が考え事をしているので、マリオ兄ちゃんが心配して「どうしたの?」と聞いた。僕が何を考えていたのかを話すと、マリオ兄ちゃんは優しく笑った。「すごく分かるよ。兄ちゃんも昔は、毎朝、朝日が昇るのを見ながら、そんなことを考えていたんだ。僕の猫生はこれでいいのかと…」 僕は聞いた。「兄ちゃん、それで分かったの?」 マリオ兄ちゃんは首を横に振った。そして、「きっと、これは考えても考えても分からないことなんだよ」と教えてくれた。「そうなのか」と僕は不思議な気持ちになった。でも、マリオ兄ちゃんは、「そんなことを考えるようになったんだから、パコも立派に成長しているんだよ」と、褒めてくれた。エヘン!! それなら、安心安心。

     僕はタンスの上にも登れるようになったし、自分がどんどんネコらしくなってきていると思った。猫生を考えることも、たまにはするけど、何か結論を出そうとは思わなくなった。そうしたら、すごく楽になったんだ。

     でも、一つ心配なことがある。何だか最近、マリオ兄ちゃんが弱ってきているように見える。マリオ兄ちゃんはぼくより大分長く生きているんだ。ムファムファが、マリオ兄ちゃんのパパは腎臓が弱くて短命だったと言っていたから、僕はすごく心配なんだ。僕は、このお家に来た頃、マリオ兄ちゃんと遊びたくてやんちゃをした。そして、マリオ兄ちゃんに叱られて不貞腐れたりした。「マリオ兄ちゃんなんか、だーいっ嫌い」と、あっかんベーをしたりした。今は反省している。本当は「マリオ兄ちゃんのことは、だ~い好き」 だから、マリオ兄ちゃんの具合が悪いと、僕まで食欲がなくなっちゃう。

     考えてみたら、これも不思議だ。マリオ兄ちゃんが具合が悪いのに、どうして僕の食欲がなくなるんだろう???

  • 7匹のネコの物語/ 哲学者をやめたマリオ

     マリオが来たころ住んでいた家は、玄関から奥までまっすぐ見渡せるような構造だった。奥のサンルームには大きなテーブルがあり、その真下に切り株の形をしたクッション性のネコ用のお家を置いていた。マリオのお家の入り口は玄関の方を向いていたので、マリオはそこから家全体を見守るかのようだった。マリオのお気に入りの場所のナンバーワンだった。
     私が帰ると、マリオは切り株のお家からダッダッと走ってくる。決して速くはない。そして抱っこをして、ひとしきり甘えると、御飯の時間となる。

     たまに、帰りが遅くなると、マリオは「ウニャ、ウニャニャニャン、ウニャン」とずっと文句を言いながら抱っこして、なかなか降りない。今思えば、ちゃんと文句を言って、態度でも寂しかったと訴えていたのだから、たいしたものだと思う。確かな信頼関係が構築されていたということだろう。5~6分文句を言うと、気がすむのか、御飯のおねだりを始める。マリオは、心の表出と納め方が実に上手な子だったと思う。

     そんなマリオが一度だけ、サンルームのテーブルから玄関横の部屋まで、脱兎のごとくピュッと逃げていったことがあった。夕食の時に、椅子の上に座っていたマリオの手が少しずつ伸びてきて、ついにお味噌汁のお椀の縁に手をかけたのだ。たちまちお椀がひっくり返り、味噌汁がテーブルの上に流れ出る。私と夫が「あ~っ!!」と大声を出した途端、マリオが全速力で走り去ったのである。悪いことをしたという感覚があったのだろうか、ただビックリしただけだったのだろうか。たぶん、どちらもあったのだろう。私たちは、マリオがあんなに素早く逃げたことにビックリした。いつもゆったりとしていて、毎朝哲学者のように夢想しているマリオの姿からは想像もつかなかった。

     そんなある日、ムサシという男の子を預かることになった。ムサシとは1年以上一緒に暮らした。哲学者だったマリオはただのお兄ちゃんネコになった。ムサシが少し大きくなると、プロレスごっこが始まった。夜には、大運動会もするようになった。お休みだったある日、マリオとムサシは、昼にも運動会を始めた。そのとたん「ガッシャン!」と玄関で大きな音がした。私の大好きなイヴサンローランの白い花瓶が玄関のたたきに落とされ、見事に粉々になっていた。この時も、2匹はすさまじい速さでピュッと玄関横の部屋に逃げ込んでいた。

     マリオは、寂しさを伝えたり文句を言ったりはできるが、悪いことをした時の謝罪の仕方は知らなかったらしい。「やらかした!」と思っていることは伝わってくるので、そんなマリオの行動も十分可愛いのだけれど。マリオが謝罪をするようになったら、それはそれでビックリしてしまうだろう。謝罪ができないマリオでいいと思っていた。

  • パコちゃん日記 5 /    マリオ兄ちゃんのドライブ

     マリオ兄ちゃんと年末年始をバアバのお家で過ごした帰りは、「カシオペア」という列車で帰ってきた。お部屋の中にトイレがついている。プファプファやムファムファがお部屋から出ないので、すっごく安心だった。僕たちのトイレは、もちろんプファプファがちゃんと作ってくれたから大丈夫。すっごく楽しかった。僕は「豪華寝台特急列車」のファンになってしまった。

     マリオ兄ちゃんは、ドライブも好きだと教えてくれた。昔は、我が家には車がなかったので、レンタカーに乗ったと教えてくれた。叔父さんの家に泊まりに行ったり、草津温泉に行ったこともあるって。「草津温泉」って何? ペットと泊まれる温泉というのがあって、マリオ兄ちゃんは連れて行ってもらったんだって。いいな~

     マリオ兄ちゃんは、後部座席の窓のところで寝っ転がっているのが好きだったんだって。時々目が覚めて伸びをしたりあくびをすると、後ろの車の人たちがビックリしたらしい。後ろの車の人が指さして、「動いた動いた」「本物のネコだ!」とか「ぬいぐるみじゃなかった」とか(たぶん)言っている。ムファムファはその様子をルームミラーで見ながら、「後ろの人、ビックリしてるよ」と嬉しそうにはしゃぐんだ、とマリオ兄ちゃんが教えてくれた。プファプファもムファムファも結構ミーハーじゃん。

     草津温泉はずいぶん遠かったけど、マリオ兄ちゃんはドライブがますます好きになったんだって。その時は、ペンションというところに泊まったらしい。「ペンション???」 他のお客さんも犬や猫ときてるので、ビックリしたと言っていた。泊まったお部屋には、ロフトもあって広くて、探検し甲斐があったんだって。

     今は、僕のお家にもマイカーがある。でも、最近はマイカーに乗せられると、ほぼ決まってお注射やペットホテルでのお留守番なので、楽しくない。僕がマリオ兄ちゃんのようにはいい子ができないから、ドライブに連れていけないとプファプファが言っていた。僕が、ブレーキペダルの裏っ側に入って遊んだのがいけなかったらしい。シュン…

     

  • パコちゃん日記 4 /    ガブリエルは悪い子じゃない

     ちょっと今日は、時間をワープしてみることにする。あまり知られていないけど、実は、ネコの時空間は自由自在なのだ。僕は今、天国にいて、ガブリエルやルイスともネコ会議をしている。ニャンズームは、実はずっと昔からボクたちは使っていた。ムファムファは、そのことに最近どうやら気づいて、僕たちが人間の真似をしたと思っている節があるから、笑っちゃうんだけど!

     ガブリエルは、どうやら狂暴で悪い子とムファムファに思われている。確かに、マリオ兄ちゃんはじめ、僕たちはあんまりプファプファやムファムファに嚙みついたりはしなかった。遊びに夢中になって、勢いで手をひっかいちゃったりはしたけど。「どうして噛んじゃうの?」とガブリエルに聞いたことがある。「ムファムファに抱っこしてもらうと嬉しくなって噛んじゃってる…」と、ガブリエルも自分の行動を不思議に思ってるみたい。「あと、お尻を拭かれたりすると頭にきて、プファプファにかかっていっちゃう」と。僕は、ガブリエルに言った。「ガブは悪い子じゃないよ。安心して‼」。「ホントに?」と、ガブリエルはホッとした顔をした。僕は、「心って不思議で、自分でもわからない気持ちが出てきたり、思いもしてないことをやっちゃうことがあるんだよ」と、ガブリエルに教えた。

     「ルイスがきてから、ガブリエルはあんまり噛まなくなったよね」と僕が言うと、「うん! だって、お兄ちゃんになったから」とガブリエルが答えた。「偉いね! でも、あんまり我慢しすぎない方がいいよ」と、僕は伝えた。僕が我慢しすぎて、三角禿になったことがあると教えたら、ガブリエルはビックリ仰天した。何を我慢していたかはまたいつかね。

     「パコ兄ちゃんは、いろんなこと知ってるんだね」とガブリエルは感心してる。「マリオ兄ちゃんに、いろいろ教えてもらったからだよ」と僕は言った。「僕は次男だから、日記を書く担当になったんだよ」と教えた。「ふーん」と聞いてたけど、ガブリエルはそれがどういうことなのか、さっぱり分かってないようだ。「悪い子じゃないと言われてよかった。僕は繊細なのかもしれない」とガブリエル。「そこまでは言ってないけど…まあ、いいか」と、僕はニャンズームを止めた。

     

  • 7匹のネコの物語 /哲学者マリオ

     マリオは私の地元の神社のお祭りの日に生まれた。夏になって、私は実家で生まれたネコを連れてくるために帰省した。クララという女の子を連れてくる予定だった。しま模様のかわいい子だった。額にMの模様があるのも気に入っていた。さて、帰る日の朝、キャリーを開けると、何と!もう一匹残っていた男の子が「僕が行く」と、キャリーにさっさと入ってしまった。クララも「あたち行かない~」っていう感じだったので、男の子を連れて帰ることになった。ヒマラヤンのようなポインテッドの子だった。男の子だったので、マリオと命名した。我が家にやってきたのは、マリオの意思だったのかもしれない。

     飛行機では客室に一緒に乗れないので、カウンターで預けることになる。少し心配したが、JALのお姉さんたちに「キャー、かわいい。みてみて」と言われ、マリオもまんざらでもない様子だった。肝の据わった子だと思った。飛行機から降りてくる時、マリオは小さな声で「ニャオン」と鳴いていたが、びくびくすることもなく、本当に適応力の高い子だと思った。

     家に着くと、すぐにトイレもできた。家を一通り探検すると、ごはんもモリモリ食べた。マリオは大食いだった。食べるとへそ天をして眠った。引き戸の溝にはまって安定する姿がかわいらしかった。それくらい小さかった。おなかはポンポンになっていて、アリさんのおなかのようだった。マリオは、どんどん大きくなった。

     マリオの主治医はグリム先生といった。先生のところで洗ってもらう時、いつもかわいらしいリボンを首輪につけてもらった。先生の表現が変わるのが実に面白かった。「かわいい」から「ぷくぷくしててかわいい」へと変化した。そう、マリオはどんどん大きくなって、お正月をすぎるころには5キロを超えてしまった。茹でたささみもだ~い好き。猫缶も一缶ペロッと食べた。無芸大食のマリちゃんと呼ばれるようになった。できる芸といえば、「こてん芸」、私たちが見てるところで、「いくよいくよ」と弾みをつけて、こてんと寝転がるのだ。これは芸か?

     マリオは芸はしないが、毎朝、オルガンの上で朝日が昇るのを見ながら考えている、ように私には見えた。「人生、いや違った、猫生とは何か?」と。毎朝毎朝、哲学者のような横顔は崇高ささえ感じられた。そして、お客様が来ると、ボールペンを隠したりと可愛らしいいたずらをして、おもてなしをしていた。そして、翌日、おやつも食べないで寝ていた。彼なりに精一杯のおもてなしで疲れたようだった。笑うしかない! マリオは唯一、腰にドライバーやペンチなどを巻き付けた工事のお兄さんが苦手だった。すぐさま、「押し入れ、あけて!」と言ってくる。押し入れにこもって、お兄さんが帰るのをじっと待っていた。

     無芸大食のマリオは、本当はすごくいい子だったと分かったのは、他のネコたちと暮らしてからだった。よく食べ、トイレもちゃんとできて、元気で、お留守番もできる。一緒に散歩にも行く。旅行も平気。これは普通ではなく、とってもいい子だったのだ。マリオは、私たちが初めてネコと暮らすことを知っていて、自分が行くと決めたのかもしれない。かなりの天才ネコだ! その後、我が家にやってくる猫たちのなかで、「伝説のマリオ兄ちゃん」と呼ばれるようになった。

  • パコちゃん日記 3 /    パコ初めて「北斗星」に乗る

     年末になって、プファプファとムファムファとマリオ兄ちゃんと僕は、汽車に乗った。僕が新しいお家に来る時に載った電車とは全然違う。「北斗星」という夜汽車だった。お部屋に入ると、プファプファは、床一面にピクニック用のシートを敷いてくれた。広々として、何だか楽しくなってきた。マリオ兄ちゃんは、前にも乗ったことがあるので、落ち着いたものだった。尊敬しちゃうな! 窓の外を見てみると、知らない人が一杯いた。たまに僕とマリオ兄ちゃんに気づいて、「かわいい~」と言って近づいてくる人もいた。恥ずかしかったし、びっくりもしたけど、思わず手を(いやシッポを)振ってしまった。しばらくすると、ガタンゴトン・・・と動き出した。窓の外の景色がどんどん変わっていって、僕は目を丸くしていた。車掌さんがやってきた。プファプファはマリオ兄ちゃんと僕の切符を買ってくれた。えへん! 僕の切符もあるんだ‼
     プファプファとムファムファは、家から持ってきたいろいろな食べ物を広げて、ワインを飲み始めた。外は暗くなってきたし、僕はだんだん眠くなった。ガタン…ゴトン……どんどん夢の中に入っていった。ふっと目が覚めると、マリオ兄ちゃんは、プファプファが持ってきてくれた簡易トイレの使い方を教えてくれた。結構、快適~。カリカリもお水もちゃんとあった。どこに行くんだろう?「バアバのお家に行くんだよ」とマリオ兄ちゃんが教えてくれた。マリオ兄ちゃんはそこで生まれたんだって。


     夜中、ものすごく長い長いトンネルを通った。トンネルの入り口辺りには、すごい水蒸気が立ち込めていて真っ白。「今日は、びっくりの連続にゃ」夜汽車のせいか、ゆっくりと汽車は進んでいる。トンネルを出てもまだ暗かった。プファプファとムファムファも寝てるので、また僕も寝ることにした。

     外が少し明るくなってきて、僕はまたびっくりした。お外が真っ白。どうしたんだ? マリオ兄ちゃんが、「雪だよ」と教えてくれた。「雪って、なんだ?」よく分からないけど、白い世界はとってもきれいだ。大きなお風呂もある…何だ? 「海だよ」とマリオ兄ちゃんが教えてくれた。マリオ兄ちゃんは何でも知っている。僕はちょっとみんなに自慢したくなった。えへん!

     海が見えなくなってきたら、プファプファが僕たちのトイレの掃除を始めた。「上手にできてるね」とほめてくれた。またまた、えへん!本当は、ちょっと揺れるので、必死につかまって頑張ったんだ。ムファムファは、ガムテープで寝台や椅子をペタペタし始めた。「僕たちの毛がくっついてると、ダメなんだって…」 しばらくすると大きな駅に着いた。僕とマリオ兄ちゃんは、キャリ―に入った。改札を出ると、バアバと知らないおじさんがいた。「ジイジだよ」と、マリオ兄ちゃんが教えてくれた。ジイジの車に乗って、また移動だ。ちょっと緊張してきた。

     ジイジとバアバのお家に着いた。まずは探検だ。この家には階段がある。すっごく面白い! 階段の途中からも飛べる、ヤッホー! マリオ兄ちゃんは疲れたのか、ストーブの前で居眠りを始めた。ひとしきりジャンプして遊んだら、僕も疲れて、ストーブの前に行ってみた。……なんだ…頭の中がとろけてきた。気が付いたら夢の中。ここで年越しというのをするらしい。なんでもいいや! マリオ兄ちゃんがいっしょだから、僕怖くない‼

     飛行機には乗れなかったけど、「豪華寝台特急列車」に乗ったんだ。マリオ兄ちゃんは、飛行機より「北斗星」の方がいいと言う。飛行機は、プファプファとムファムファと離れて、別の部屋に連れていかれるんだそうだ。僕、そんなの嫌だなと思った。「北斗星」だ~い好き!