7匹のネコの物語 /哲学者マリオ

 マリオは私の地元の神社のお祭りの日に生まれた。夏になって、私は実家で生まれたネコを連れてくるために帰省した。クララという女の子を連れてくる予定だった。しま模様のかわいい子だった。額にMの模様があるのも気に入っていた。さて、帰る日の朝、キャリーを開けると、何と!もう一匹残っていた男の子が「僕が行く」と、キャリーにさっさと入ってしまった。クララも「あたち行かない~」っていう感じだったので、男の子を連れて帰ることになった。ヒマラヤンのようなポインテッドの子だった。男の子だったので、マリオと命名した。我が家にやってきたのは、マリオの意思だったのかもしれない。

 飛行機では客室に一緒に乗れないので、カウンターで預けることになる。少し心配したが、JALのお姉さんたちに「キャー、かわいい。みてみて」と言われ、マリオもまんざらでもない様子だった。肝の据わった子だと思った。飛行機から降りてくる時、マリオは小さな声で「ニャオン」と鳴いていたが、びくびくすることもなく、本当に適応力の高い子だと思った。

 家に着くと、すぐにトイレもできた。家を一通り探検すると、ごはんもモリモリ食べた。マリオは大食いだった。食べるとへそ天をして眠った。引き戸の溝にはまって安定する姿がかわいらしかった。それくらい小さかった。おなかはポンポンになっていて、アリさんのおなかのようだった。マリオは、どんどん大きくなった。

 マリオの主治医はグリム先生といった。先生のところで洗ってもらう時、いつもかわいらしいリボンを首輪につけてもらった。先生の表現が変わるのが実に面白かった。「かわいい」から「ぷくぷくしててかわいい」へと変化した。そう、マリオはどんどん大きくなって、お正月をすぎるころには5キロを超えてしまった。茹でたささみもだ~い好き。猫缶も一缶ペロッと食べた。無芸大食のマリちゃんと呼ばれるようになった。できる芸といえば、「こてん芸」、私たちが見てるところで、「いくよいくよ」と弾みをつけて、こてんと寝転がるのだ。これは芸か?

 マリオは芸はしないが、毎朝、オルガンの上で朝日が昇るのを見ながら考えている、ように私には見えた。「人生、いや違った、猫生とは何か?」と。毎朝毎朝、哲学者のような横顔は崇高ささえ感じられた。そして、お客様が来ると、ボールペンを隠したりと可愛らしいいたずらをして、おもてなしをしていた。そして、翌日、おやつも食べないで寝ていた。彼なりに精一杯のおもてなしで疲れたようだった。笑うしかない! マリオは唯一、腰にドライバーやペンチなどを巻き付けた工事のお兄さんが苦手だった。すぐさま、「押し入れ、あけて!」と言ってくる。押し入れにこもって、お兄さんが帰るのをじっと待っていた。

 無芸大食のマリオは、本当はすごくいい子だったと分かったのは、他のネコたちと暮らしてからだった。よく食べ、トイレもちゃんとできて、元気で、お留守番もできる。一緒に散歩にも行く。旅行も平気。これは普通ではなく、とってもいい子だったのだ。マリオは、私たちが初めてネコと暮らすことを知っていて、自分が行くと決めたのかもしれない。かなりの天才ネコだ! その後、我が家にやってくる猫たちのなかで、「伝説のマリオ兄ちゃん」と呼ばれるようになった。

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